公正証書遺言の証人の役割と選任方法を解説
遺言書の中でも信頼性が高いとされるのが公正証書遺言です。
公証人が作成するため、形式の不備で無効になるリスクがなく、遺言者の意思を反映しやすくなっています。
今回は、公正証書遺言における証人の役割や選任方法を解説いたします。
公正証書遺言における証人の役割
公正証書遺言を作成する際は、公証人の面前で遺言者が遺言の内容を口頭で伝え、それを筆記・確認・署名押印するという流れをとります。
その過程において、証人は主に手続の公正さを確保する役割を担います。
証人は、遺言者の発言や意思が自由かつ明確なものであることを見届ける立場です。
遺言者が誰かに強制されていないか、判断能力に問題がないかなど、第三者としての視点で確認します。
証人になれるひと・なれないひと
民法第974条では、公正証書遺言の証人資格に制限が定められています。
証人になれるひと
遺言者と利害関係を持たない成人であれば、基本的に誰でも証人になれます。
信頼できる友人や知人、または弁護士・司法書士・行政書士といった専門家を依頼するケースもあります。
証人になれないひと
一方で、以下のようなひとは証人になれません。
- 未成年者
- 推定相続人、受遺者およびこれらの配偶者・直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記および使用人
遺言の内容で利益を得る可能性があるひとや、公証人と特別な関係にあるひとは除外されます。
証人の選任方法
証人は、以下のような方法で手配できます。
自分で選ぶ場合
信頼できる知人や友人に依頼する方法です。
ただし、遺言内容や家族関係などプライベートな情報を知られるため、慎重な人選が求められます。
公証役場に紹介を依頼する場合
証人を自分で見つけられない場合、公証役場が外部の証人を紹介してくれることがあります。
費用は1人あたり5000円〜1万円程度が一般的です。
公証役場によって取り扱いが異なるため、事前に確認をしておくとよいでしょう。
司法書士などに依頼する場合
専門家に依頼すれば、遺言書の内容確認から手続き全般、証人業務まで一括で任せることができます。
守秘義務があるため、情報漏えいの心配もなく、安心して依頼できる点が大きなメリットです。
まとめ
公正証書遺言の証人は、単にその場に立ち会うだけの存在ではなく、遺言者の意思を正確に伝え、手続の公正性を確保する重要な役割を担っています。
信頼できる第三者を自ら選ぶほか、公証役場の紹介や司法書士への依頼も可能です。
手続きに不安がある場合は、なるべく早く司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。
