相続放棄の期限
自分の責任でもない被相続人の負債を負わなければならないといった不条理を避けるために民法は938条以下に「相続の放棄」の規定を設けています(民法第5編第4章第3節)。相続放棄とは被相続人の財産(遺産)を承継する権利をすべて手放すことに他なりませんが、これには期限があります。そこで、今回は相続放棄の期限について見ていきましょう。
いつ相続放棄をすることができるのか
相続放棄は自分が相続人になることを知った時から3ヶ月以内に、自分が相続を放棄するという手続きをしなければ成立しません(民法905条、この3ヶ月を熟慮期間といいます)。もしこの3ヶ月を過ぎた場合に自動的に被相続人の遺産が承継されます。ちなみに、よく相続の時効云々という言葉が出てきますが、相続に時効はありませんですので、被相続人が借金などを抱えている場合に、自分の責任ではない負債を抱えたくなければ速やかに家庭裁判所に出向き相続放棄の旨を申述書に記入しましょう。また、相続放棄と似たような制度として限定承認があります。こちらは負債以外の相続人の財産を継承することもできますが相続放棄と比べて手続きが複雑なので注意が必要になります。
なお、「遺産の相続を承認した」と見なされる場合は、前述の熟慮期間以内に相続放棄の手続きを行わなかった場合の他に、遺産(の一部)を使ってしまったり処分した場合や相続放棄をした後でも遺産の一部もしくは全部を隠したり、遺産と知った上で財産目録に記載しなかったりした場合がありますので注意が必要です。