会社設立の流れ
会社を設立する、と聞くと煩雑な手続きを要しそうな印象を抱くことも多いかもしれません。実際にはどのような手続きを経ることで会社は成立するのでしょうか。以下では株式会社を「発起設立」という方法で設立するにはどのような手続きを経る必要があるのか、その流れを示します。
■事前の準備
会社法を見ると、会社の設立の第一段階は「定款の作成(会社法26条1項)」であるようにも見えますが、実際には、いくつかの事前準備をしておく必要があります。
〇基本事項の決定
事前準備の一つとして、基本事項の決定が挙げられます。
具体的には、
・会社の目的
・商号(会社の名前)(会社法6条1項)
・本店の所在地
・会社設立時に出資される財産の額、またはその最低額
・発起人(氏名・住所)
・発行可能株式総数
等を決定します。
〇印鑑関連の事務
会社を設立するためには印鑑が必要になります。実印・銀行印・角印等を作成します。
■定款の作成
定款とは、会社の組織と活動の基本となるルールのことです。
株式会社を設立するためには、発起人が定款を作成する必要があります。定款は、書面に記載する方法でも電子データとして記録する方法でもよいとされています。作成する際には、発起人全員が署名するか、記名押印することが必要です(会社法26条1項)。
作成した定款は、公証人の認証を受ける必要があります(同法30条1項)。
その際には、「発起人の」実印・印鑑証明書が必要になります。「印鑑関連の事務」の項目に記載した会社の実印とは異なるので、事前に発起人個人の実印・印鑑証明書を用意しておかなければなりません。
定款の内容には二つの種類があり、「絶対的記載事項」と「相対的記載事項」があります。
絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項のことです。これが記載されていないと定款全体が無効になってしまうため、注意が必要です。
具体的には、①目的、②商号、③本店の所在地、④会社設立時に出資される財産の額、またはその最低額、⑤発起人の氏名または名所湯と住所、⑥発行可能株式総数、です。
相対的記載事項とは、定款に記載しなくても定款は有効ですが、定款に記載しなければその事項の効力が認められないというものです。公告方法・変態設立事項が例として挙げられます。
■株式発行事項の決定
既に説明したように、定款の「絶対的記載事項」の④では会社設立時に出資される財産の額、またはその最低額を定めなければならないことになっていました。逆に言えば、それ以外は定款以外で決定しても良いということになります。
ほとんどの事項は発起人の多数決で決めることができますが、三つだけ例外があり、会社法32条1項に規定されています。①発起人が割り当てを受ける設立時発行株式の数、②設立時発行株式と引き換えに払い込む金銭の額、③成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項、の三つの事項に関しては、発起人「全員」の同意が必要になります。
■株式の引き受け
発起設立の場合は、発起人が設立時に発行されるすべての株式を引き受けます。
■出資の履行
発起人は、株式を引き受けた後速やかに、引き受けた株式の全額についての払い込みをしなければなりません。払い込みをしないでいると、失権してしまう可能性があります。
■設立時役員等の選任
出資の履行が完了したら、すぐに設立時取締役を選任します(同法38条1項)。その他、会計参与・監査役・会計監査人等を選任する場合もあります。
■設立経過の調査
設立時取締役は設立事項(同法46条1項1号~4号)を調査します。例えば、出資の履行が完了してるかどうかや、設立手続きが法令や定款に違反していないかどうかが挙げられます。これらの設立事項について、法令もしくは定款に違反し、または不当な事項があることが判明した場合には、各発起人に通知しなければなりません(同法46条2項)。
■設立の登記
株式会社は、その本店の所在地において設立の登記をすることによって成立します(同法49条)。設立の登記は、代表者が、所定の期間内(同法911条1項1号2号)に本店の所在地の登記所において、登記申請書に所定の添付書類(商業登記法47条2項1号~12号)を添えて申請します。その際には、登録免許税を納付する必要があります。
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