遺留分減殺請求
民法では、故人(被相続人)に親しい親族(例えば、子や親)に遺産を有する権利(相続権)を定めています。そしてもし被相続人が生前に第3者に贈与をしたり、遺言により遺産が本来民法で定められた相続人のもとに十分に渡らない場合は遺留分減殺請求権を行使することができます(民法1031条)。今回はこの遺留分減殺請求権について見ていきましょう。
⑴遺留分とは
そもそも遺留分とは何でしょうか。日常生活ではほとんど使われない言葉ですよね。遺留分とは、配偶者や父母など被相続人にとって関係が大きい親族が遺産を承継することのできる最小限の取り分になります。遺留分を持つ資格のある人(遺留分権者)が遺留分を取り損ねる場合に被相続人が第三者に贈与した遺産や遺言によって特定の人に承継された遺産を裁判により取り戻すことができます。
⑵遺留分減殺請求権
遺留分減殺請求権は、遺留分の遺産を遺留分権者が承継できることを保全するために、被相続人による生前の贈与や遺言に基づいた贈与によって遺産を承継した人に遺留分の遺産を求める権利です。
民法に規定があるので引用しておきましょう。
民法1031条:遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。
⑶どうやったら遺留分減殺請求権を使えるのか
遺留分減殺請求権は①相続が始まって、②被相続人による生前の贈与や遺言に基づいた贈与によって遺留分が侵害されたときに行使することができます(民法1031条)。
なお、①、②の2つのことを遺留分権者が知ってから1年を過ぎると遺留分減殺請求権は行使することができなくなります(民1042条)。