財産目録とは
■遺産相続とは
人が死亡すると、相続が発生します。相続においては、故人は被相続人と呼ばれ、被相続人の財産を相続する人のことを、相続人と呼びます。
遺産相続とは、このように故人の遺産を相続人たちが承継することをいうのです。そして、相続の対象となる財産は、被相続人が生前有していた財産のすべてになりますから、被相続人がどのような財産をどのくらい持っていたのかを把握する必要があります。その把握を正確に行うことではじめて、相続人同士で遺産を分け合う、遺産分割を行うことができるのです。
●遺産相続の一連の流れ
相続が発生したら、遺言書の有無を確認します。遺言書があれば、その記載通りに遺産分割をしていくことになります。遺言書がない場合には、相続人同士で遺産分割協議を行い、具体的な遺産分割方法について話し合いを行う必要があります。遺産分割協議においては、相続人全員の関与が必須であり、誰がどの遺産をどれくらい引き継ぐのか、ということを、話し合って決めます。こうして具体的に決定した内容を、遺産分割協議書として書面にまとめます。
その際、被相続人の遺産を正確に全て把握できておらず、漏れがあった場合には、せっかく遺産分割方法を決めても、再度話し合いをやり直すことになってしまいます。そのため、財産目録として、事前に財産をリストアップしておくことで、相続手続きを円滑に進めることができます。
●財産目録とは
財産目録とは、被相続人の遺産を、過不足なくすべてリストアップし、その内容が分かるようにまとめたものです。相続の対象となる財産は、被相続人が生前に有していた財産のすべてですから、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。プラスの財産とは、土地建物といった不動産や金銭といったものです。一方、マイナスの財産とは、借金やローンの返済義務といったものです。
上記の通り、財産目録は、遺産分割の場面において、財産の正確な把握をするために重要な役割を果たすことが分かります。遺産分割協議の際に、財産目録があれば、一目で財産の内容を把握でき、分割方法の決定もスムーズに進めることができるのです。
しかし、財産目録が必要となる場面はこれだけではありません。例えば、遺言書を作成する際や、相続税の申告の際にも必要となります。遺言書を作成する場合には、どの財産を誰に相続させるのか決定することになります。その際に、財産目録を作ることで、漏れなく財産の行方を決めることができます。また、相続税を申告する際には、財産目録の添付が必須となります。遺産の総額が基礎控除額を上回る場合、相続税を申告することになります。
●財産目録の作成方法
それでは、財産目録の具体的な作成方法について、確認していきましょう。
まず、財産目録の書式については、特に指定はありません。財産の内容や量によって、書式は変わっていきます。しかし、書式に決まりがないからといって、単に財産を羅列しただけでは不十分です。財産の名称だけでなく、価額や所在地、種類や数量等、できるだけ詳細に記載することが望ましいです。そうすることで、同じような財産が複数存在したとしても、それぞれの財産を特定しやすくなります。以下では、財産ごとの具体的な記載の仕方を紹介します。
①不動産の場合
土地や建物といった種類を記載します。また、所在地としての住所地、面積や評価額の記載も必要となります。実際の利用状況等も詳しく記載しておくと、後のトラブルを防止することにつながるでしょう。
②預貯金や現金の場合
預貯金は、どの口座にいくら入っているのかを詳しく記載しましょう。銀行名・支店名・口座番号といった情報のほか、利息も把握しておけるとより良いでしょう。現金の場合、どこにいくら保管されているのか、詳しく記載しましょう。
③借金(マイナス財産)の場合
マイナス財産も相続の対象となりますから、記載することになります。借金がある場合には、いかなる名目で負債があるのか、債権者は誰か、金額はいくらか、といった情報の記載が必要です。また、具体的な返済方法の記載も必要となるでしょう。
●困ったら、法律の専門家に相談を
財産目録の作成は、財産が多くなるほど複雑で、作成が困難になります。財産が多く、整理するのが大変だと感じた場合には、ぜひ法律のプロまでご相談ください。作成にあたってのアドバイスをするだけでなく、財産目録の作成自体を依頼することも可能です。
■相続に関するご相談は当事務所まで
司法書士栗原事務所では、相続に関するご相談を幅広く承っております。財産目録の作成方法や、その他相続に関するご不明点がございましたら、ぜひ当事務所までお気軽にお問い合わせください。