【司法書士が解説】合同会社設立の際の登記事項
本稿では合同会社設立の登記の申請における際の登記すべき事項について解説していきます。
会社法には第914条の中にその規定が定められています。
登記すべき事項は以下の通りです。
①目的
②商号
③本店及び支店の所在場所
④合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
⑤資本金の額
⑥合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
⑦合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
⑧合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
⑨第939条第1項の規定による公告方法についての定款の定めがあるときは、その定め
⑩前号の定款の定めが電子公告を公告方法とする旨のものであるときは、次に掲げる事項
イ.電子公告により公告すべき内容である情報について不特定多数の者がその提供を受けるために必要な事項であって法務省令で定めるもの
ロ.第939条第3項後段の規定による定款の定めがある時は、その定め
⑪第9号の定款の定めがないときは、第939条4項の規定により官報に掲載する方法を公告方法とする旨
それぞれ詳細に見ていきましょう。
①目的
合同会社が営む事業のことを指します。
目的は適法である必要があり、強行法規や公序良俗に違反する事業を目的とすることは不可能となっています。
また、法令上、資格者(司法書士、弁護士等)に限定して行うことが可能な事業を目的とすることもできません。
②商号
会社名のことを指し、合同会社の場合、その商号の中で「合同会社」の文言を使わなければなりません。
③本店及び支店の所在場所
会社の事業活動の拠点における住所が本店の所在場所とされています。
拠点が何個も存在する場合は、統括的な役割を行う拠点における住所が本店の所在場所とされ、支店の所在場所はそれ以外の拠点における住所とされています。
もちろん、支店を設けていなければ登記事項にはなりませんので、本店の所在場所が登記事項となります。
また、住所のうち、マンション名やビル名、部屋番号に関しては、本店及び支店の所在場所として登記したり、省略したりすることも可能です。
④合同会社の存続期間又は解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
実際には、会社の存続期間や解散事由を、合同会社の設立時の定款で定めることはほとんどないと思いますが、万が一定めた場合には登記事項となっています。
⑤資本金の額
社員になろうとする者が出資した財産額のうち、業務執行社員の半数以上の一致により資本金に計上すると定めた額が、合同会社の設立時の資本金の額となります。
そして、出資財産額のうち資本金に計上しなかったお金が資本剰余金とされています。
実装の合同会社設立において、ほとんどの場合、出資財産額の全額を資本金の額としています。
⑥合同会社の業務を執行する社員の氏名又は名称
業務を執行せず、出資だけをする社員については、登記事項にはなりません。
⑦合同会社を代表する社員の氏名又は名称及び住所
代表社員に関しては、住所も登記事項となっています。
⑧合同会社を代表する社員が法人であるときは、当該社員の職務を行うべき者の氏名及び住所
業務執行社員となるのが法人である場合は、その法人は、業務執行社員としての職務を行う者(職務執行者)を選任しなければなりません。
そして、その法人が代表社員である場合、この職務執行者の氏名及び住所が登記事項とされています。
もっとも、これから会社を設立するということなので、ほとんどの会社は第6号と7号を意識しています。
第8号に関しては、外資系の日本法人が日本において子会社を設立する場合に使われるような登記事項となっています。
⑨公告の方法
合同会社の公告方法には、電子公告、官報に掲載する方法、時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法があります。
また、公告方法を「A及びB」のように重ねて定めることはできますが、「AまたはB」のように選択的に定めることは不可能です。
他にも、電子公告の場合は、電子公告を行うウェブページのURL及び予備的公告方法を定めたときは、その定めが登記事項となっています。
ここまで合同会社設立の際の登記事項について述べてきました。
実際、これは株式会社の設立と比べるとだいぶシンプルな登記事項となっています。
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