動画の遺言に効力はあるか
遺言とは、被相続人が存命中に遺言書を遺すことで、相続の内容や方法をあらかじめ指定しておき、被相続人が死亡した後、遺言書に従って遺産分割を行うことです。現代では、スマートフォンやビデオカメラによって、自分の死後に親族に対するメッセージを遺しておくことも多くなっています。遺言書は、文字通り文書によって被相続人の意思を相続のあり方に反映させるものですが、文書ではなく動画によって遺言を遺すこともできるのでしょうか。
・動画の遺言は効力がない
結論からいうと、動画による遺言は、法的効力がありません。遺言には、自筆証書遺言、秘密証書遺言、公正証書遺言の3種類があります。そして、この3つの遺言は、いずれも法律で規定された形式の文書であることが効力発生の要件です。また、自筆証書遺言や秘密証書遺言には、開封前に家庭裁判所による検認が必要になります。遺言は、相続の方法を指定するものなので、相続人の利害関係に大きく影響を与えるものですから、要件を満たさない遺言には効力がありません。したがって、動画の遺言には法的拘束力がありません。
・遺言書の付言事項を動画で遺すことはできる
遺言書には、いずれの方式においても付言事項を記すことができます。付言事項とは、遺言書のうち、法定遺言事項を除いた、法的拘束力のない部分のことです。例えば、遺言書に記載されている法定遺言事項を記した理由や背景、親族への想いなどを自由に記載することができます。こうした付言事項は、文書ではなく動画で遺しておくこともできます。文書よりも動画のほうがより明確に意思が伝わりやすいことも多く、遺言書と動画を組み合わせることで、相続人に自分の意思をより正確に伝えられる遺言を遺すことができます。詳細かつ明確な付言事項を遺すことで、相続人による相続をめぐった争いを未然に防ぐことにもつながります。
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